豆知識

咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)のお話

■咽喉頭異常感症とは

咽喉頭異常感症とは、「のどに何かひっかかっている、のどが詰まって苦しい」という症状が出ているにもかかわらず、検査してみてもはっきりとした原因疾患(のどのアレルギー・炎症・腫瘍など)が見当たらないという病気です。この病気はヒステリー球とも、漢方の用語で梅核気(ばいかくき)とも呼ばれています。検査をしても異常がないということで周囲からも理解されづらく、発症にも様々な要因が関わっているため、本人にとってつらい症状であることは確かです。

 

■咽喉頭異常感の原因

咽喉頭異常感は様々な要因で発症します。鼻水がのどに落ちる後鼻漏が原因の場合は、背景にアレルギー性鼻炎・花粉症・慢性副鼻腔炎(蓄膿症)がみつかる場合があります。のどにアレルギーがある喉頭アレルギーが原因のこともあります。胸焼けなどがある場合、酸逆流症・逆流性食道炎が関与することもあります。首にあるホルモンを産生する甲状腺に問題がある場合や、咽喉頭に腫瘍、腫瘤がある場合もあります。当院ではまずこれらの疾患が無いかを、のどのファイバーやX線、アレルギー検査などの採血などで確認します。多くの場合、これらの原因がみつかり、治療によって症状が落ち着くことが多いです。これらの検査や治療で異常がみつからない場合、改善が無い場合、咽喉頭異常感症という診断にいたります。主な原因はストレスであると言われています。自律神経失調症、うつ病、更年期障害など、精神的症状の目立つ疾患とともに発症することが多いです。のどに違和感があるのに、いくら検査をしてみても原因疾患が見当たらないという場合は、最近大きなストレスを抱えていなかったか、疲労がたまってはいなかったかを考えてみましょう。

■咽喉頭異常感症の治療法

咽喉頭異常感症は、精神的要因がきっかけであることが多いので、どのようなストレスがあったのか、それに対しどう体調を整えるのか、ということを考える必要があります。規則正しい生活により自律神経を整えたり、運動と休息をバランスよくはさんだり、日常生活の改善からストレスを軽くしていくことも非常に重要です。漢方の効果は個人の体質に左右されるところも大きいため一概には言えませんが、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などの漢方が有効なこともあります。また、口呼吸などでのどが乾燥すると違和感が強くなることがあります。鼻の治療、うがいをする、水やお茶を飲むといった、ちょっとした対処が症状を和らげることも多いです。

 

札幌市東区  あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック院長

安部 裕介

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