豆知識

扁桃炎のお話

急性扁桃炎・扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍・扁桃病巣感染症

■急性扁桃炎とは

急性扁桃炎とは細菌やウイルスに感染することによって、のどの奥の左右両側にある口蓋扁桃に炎症が生じた状態です。鼻の奥、のどのつきあたり、舌の付け根にも扁桃組織はあり、のどの痛み、ものを飲み込んだ時の痛み、発熱、耳の痛み、鼻の奥の痛み、首のリンパ節が腫れる、などの症状が現れます。

 

■急性扁桃炎の原因

多くの細菌が原因となりますが、学童期など小児で、溶連菌(溶血性連鎖球菌)原因となった場合、お休みする必要があります。アデノウイルスなどのウイルスが原因となる場合や、特殊な症状、経過をとる性感染症として、梅毒、淋菌、クラミジアが原因のこともあります。

 

■急性扁桃炎の検査と診断

のどの奥を視診やのどのファイバーを用いて観察、扁桃の腫れ、炎症の程度から診断します。のどの奥を詳細に診察できる耳鼻咽喉科での診察がお薦めです。症状、年齢によっては、溶連菌などの細菌検査、アデノウイルスなどのウイルス検査、血液検査、尿検査などを行う場合もあります。

 

■急性扁桃炎の治療法

症状や炎症の程度が強い場合、内服の抗菌剤などを使用します。食事が摂れない場合は、入院の上、点滴の抗菌剤を使用する場合もあります。扁桃の炎症を年に4〜5回と反復する場合は、炎症が落ち着いているときに、口蓋扁桃を手術で摘出する場合もあります。

 

■扁桃周囲炎・膿瘍とは

扁桃炎がこじれて、扁桃周囲に炎症が及んだ状態を扁桃周囲炎、さらに炎症が進行し、扁桃周囲に膿がたまり、腫れた状態を扁桃周囲膿瘍といいます。発熱、のどの痛みに加え、含み声、口が開けにくい、重症化し、膿瘍がくびに波及した場合(頸部膿瘍)は、くびの痛みや腫れ、息苦しさが生じる場合もあります。

 

■扁桃周囲炎・膿瘍の診断・治療法

のどの奥を視診やのどのファイバーで診断します。CTなどの画像で膿がたまっているか確認し、膿を注射器で吸い出したり、メスで切開し膿を出したりします。入院(程度がひどくなければ外来通院)の上、点滴の抗菌剤にて治療します。重症化し頸部膿瘍になった場合は、くびの腫脹部位を切開し、膿を出したり、気道を確保するために気管切開を行う場合もあります。急激に進行する場合もあり、受診や診断が遅れから、耳鼻咽喉科受診時には、緊急性が高い状況になっていることも少なくなく、早めに耳鼻咽喉科医による適切な診断が重要になります。

 

■扁桃病巣感染症とは

扁桃病巣感染症とは、扁桃自体の炎症は軽微ですが、扁桃が病巣(原因)となり、皮膚、関節、腎臓などの全身病気を引き起こす状態のことです。手や足の裏に皮疹ができる掌蹠膿疱症、胸肋鎖骨過形成症、IgA腎症などが知られており、皮膚科、整形外科、腎臓内科などと協力しながら治療を行います。病巣となる口蓋扁桃を手術で摘出することで、難治性の病状、症状の緩和につながることもあり、耳鼻咽喉科医に相談するのも1つの方法です。

 

札幌東区 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック

院長  安部 裕介

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