「慢性中耳炎」のお話
■慢性中耳炎とは
鼓膜に穴が開いている状態です。耳の穴(外耳道)を介して、穴が開いている鼓膜から中耳に細菌が入ることで、もしくは急性中耳炎と同様に、風邪などをひいた後に耳管を通じて細菌やウイルスが中耳に入ることで、炎症を起こし、耳だれを繰り返します。鼓膜に穴があいているため、音が伝わりにくく難聴の原因にもなります。稀ですが、内耳にまで炎症が及ぶと内耳炎となり、音を感じる力が低下する感音性難聴やめまいが現れることもあります。
<真珠腫性中耳炎>
厳密には慢性中耳炎ではありませんが、慢性的に経過する中耳炎の1つに真珠腫性中耳炎があります。
外耳道の皮膚が鼓膜の一部と一緒に引き込まれるように中耳に侵入し、その中に皮膚の老廃物などの塊が成 され、そこに細菌感染を起こすと真珠腫性中耳炎となります。
真珠腫は耳垢とは違い、骨を溶かす性質があるので、中耳の周囲にある、音を伝える耳小骨という骨を壊したり、音を感じたり、平衡感覚に関係する内耳や、脳や顎の関節などの周囲の骨を破壊し、様々な症状(めまい・伝音性難聴・感音性難聴・顔面神経麻痺・脳膿瘍・髄膜炎など)の原因となりますので、CTやMRIなどの画像によって進展範囲を把握します。
治療は、炎症の強いときは抗菌剤の点滴などを行いますが、基本は真珠腫の除去する手術となります。程度、進展度によって手術の方法が変わりますので、早期に診断し治療することが重要となります。
<癒着性中耳炎>
厳密には慢性中耳炎ではありませんが、慢性的に経過する中耳炎の1つです。鼓膜が中耳の奥に癒着することで、音の伝わりが悪くなり難聴を引き起こす中耳炎です。耳管機能が低下し、滲出性中耳炎を放置していたり、治療の反応が悪い場合になります。
■慢性中耳炎の症状と原因
慢性中耳炎の治療は、耳の処置、点耳薬、抗菌薬の内服などで行います。鼓膜の穴を塞ぐ鼓膜形成術、音の伝わりも改善する鼓室形成術などの手術を行う場合もあります。
札幌市東区 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック院長 安部裕介