アレルギー性鼻炎(アレルギー検査)のお話
■アレルギー性鼻炎とは
アレルギー性鼻炎とは、鼻の粘膜にアレルゲン(抗原)と呼ばれる異物が付着し刺激することでアレルギー反応が起こり発症します。
シラカンバなどの花粉が多く飛散する時期に発症する「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」、ダニやハウスダストなど1年通じて発症する「通年性アレルギー性鼻炎」と呼ばれるものに分類されます。
反応する原因物質によって発症タイミングは人それぞれ異なります。
■アレルギー性鼻炎の症状と原因
アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主要な3つの症状です。
これらの症状は、鼻の中の粘膜でアレルギー反応(抗原と抗体が結合され過剰な防衛反応が現れます)
が起こることが原因です。日本ではダニ、ハウスダストが抗原として最も多く、花粉では、日本ではスギ、北海道ではシラカンバ(白樺)が最も多く、早春のハンノキ花粉、初夏からのカモガヤ、オオアワガエリ(チモシー)などのイネ科花粉、秋のヨモギ、ブタクサなどのキク科花粉があります。他にもカビ(真菌)、ペットのフケ等があります。
アレルギーは遺伝的な影響も考えられるので、家族にアレルギー体質の方がいる場合は、発症する可能性も高まります。
■何が原因でアレルギー性鼻炎になっているか?
アレルギー性鼻炎は原因となるアレルゲンとの接触を防ぐことが大切です。そのため、どのアレルゲンが体内に侵入した際にアレルギー反応が起こるかを知っておくことは重要です。アレルギー検査をしていただくことでアレルギー反応を起こす原因物質を把握することに繋がります。
<アレルギー検査の種類>
代表的なアレルギー検査は以下の通りです。
・非特異的IgE検査;RIST(アレルギーに関係するIgE抗体の合計を調べる検査)
・特異的 IgE検査;RAST(アレルギーに関係するIgE抗体を個別のアレルゲンに対して調べる検査。13項目まで選択可能)
・VIEW39(決められた39項目)、MAST48(決められた48項目)
<特異的IgE検査RAST>
どのアレルゲンに反応するか一つずつ選んで調べることができるアレルギー検査です。
医師と相談の上、13項目まで検査することができます。アレルゲンコンポーネントといって、より精度の高い検査項目も幾つかあるなど、最も精度の高い検査となり、多くの方が13項目で十分なことが多いため、当院ではこの検査を勧めています。幾つかの食物のアレルゲンでは起こりやすい頻度(プロバビリティーカーブといいます)が年齢ごとに示されているものもあります。
・検査結果をお伝えするまでに約1週間かかります。
・費用は13項目まで保険適用です。※14項目以降は自費となります。
<VIEW39> <MAST48>
少量の血液を採血することでVIEW39は39種類、MAST48は48種類(ただし個々のアレルゲンではなくミックスとして調べる項目も含みます)のアレルゲンに対して調べることができます。
・多くのアレルゲンに対しての検査ができるため、原因がはっきりしない場合、広く浅く調べたい場合、スクリーニングとして適する場合もありますが、精度がやや落ちるため、食物アレルゲンなどの場合、検査結果の評価が難しい場合もあります。あまり必要のない項目が含まれていることもありますので、採取した血液が少ない場合、希望のある方に行っています。
・検査結果をお伝えするまで約1週間かかります
・費用は保険適用です。
※VIEW39の検査項目は以下の39項目です。
吸入系のアレルゲン(19項目)
室内の塵など・・・ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト
動物・・・ネコ、イヌ
昆虫・・・ガ(VIEW39のみ)、ゴキブリ(VIEW39のみ)
樹木、草・・・スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカバ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、オオアワガエリ
カビ・・・アルテルナリア(スズカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)、カンジタ、マラセチア(VIEW39のみ)その他・・・ラテックス
食餌系アレルゲン(20項目)
卵・・・卵白、オボムコイド
牛乳・・・ミルク
小麦・・・小麦
豆穀、物・・・ピーナッツ、大豆、そば、ごま、コメ
甲殻類・・・エビ、カニ
果物、野菜・・・キウイ、リンゴ(VIEW39のみ)、バナナ
魚 肉類・・・マグロ、サケ、サバ、牛肉、豚肉、鶏肉
※<MAST48>のみ検査可能項目
室内の塵など・・・コナヒョウヒダニ(ただしハウスダストダニミックスとして)
カビ・・・ペニシリウム・クラドスポリウム(ただしカビミックスとして)
樹木、草・・・ナガハグサ・ハルガヤ・ギョウギシバ(ただしイネ科ミックスとして)、オオブタクサ・ブタクサモドキ(ただしヨモギ、ブタクサミックスとして)
豆穀、物・・・ヘーゼルナッツ・アーモンド・クルミ(ただし木の実ミックスとして)
果物、野菜・・・トマト、モモ
札幌市東区 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック
院長 安部 裕介