メニエール病のお話
■メニエール病とは
メニエール病とは、20~40代の女性にかかりやすい、めまい、耳鳴り、難聴などの症状を繰り返す疾患です。
突然ぐるぐる視界が回るような回転性めまいが生じることが多く、1時間以上続くこともありますが、軽い場合はフワフワした感じの浮動性めまいのこともあります。
それと同時、もしくは前後して、耳鳴りや難聴、耳がつまる感じ(耳閉塞感)が生じることもあります。
■メニエール病の原因
メニエール病は、耳の一番奥の部分にあたる「内耳にリンパ液が過剰にたまる(水ぶくれ;水腫)ことによって発生する病気だと考えられています。
ただし、なぜリンパ液が過剰に溜まってしまうのかは充分にわかっていません。ストレスや疲労、睡眠不足などが誘因となっていることが多いです。
■メニエール病の診断基準
メニエール病は、「良性発作性頭位めまい症」、「めまいを伴う突発性難聴」など症状が似ている疾患もあり、初回のめまい発作の段階では診断がつきません。
ただしメニエール病は、耳鳴りや難聴を伴うめまいが、「繰り返し」生じることが特徴です。
「良性発作性頭位めまい症」は、メニエール病と異なり、体位変換時に生じる、短時間(長くても数分程度)のめまいのことが多いです。
耳鼻咽喉科では、眼振検査(眼球の動きを確認する検査)や聴力検査、場合によっては重心動揺検査(体の平衡感覚のバランスを確認する検査)などを行い、その結果と、症状を繰り返す経過をもとにメニエール病と診断していきます。
MRIなどの画像検査が診断の一助になる場合もあります。
メニエール病など耳が原因のめまいは、症状はつらいですが、生命の危機はありません。
ただ、脳梗塞や脳血管障害など生命に関わる疾患でも、同様の回転性めまいが生じることがあり、めまい発作の急性期の場合、まずは脳神経外科でCTやMRIでの検査を受けることも大切です。
■メニエール病の治療方法
メニエール病は主に内服薬を中心に処方し、改善に向けて治療を進めていきます。
めまいの頻度が高く、聴力の変化を伴う場合は、根本的な改善を図るため、内耳に溜まっているリンパ液を体外に出すために利尿剤の内服も同時に行います。
めまい発作が強いときは、症状を軽くする注射や点滴を行う場合もあります。
メニエール病は完治させることが非常に難しい疾患の1つです。
しかし、しっかりと内服薬を継続し、無理をせずに生活を送ることで、多くの方が、症状が安定した状態や、軽減した状態にコントロールすることが見込めるため、疾患と向き合って一緒に改善を目指していきましょう。
極めて難治性の場合は、中耳加圧療法や手術が選択される場合もごく稀にあります。
■気を付けること
メニエール病はストレスや疲労、睡眠不足が誘因になると考えられていますので、可能な限り、ストレス、疲労をため込まず、寝不足にならない生活を送ることが大切です。
多忙であれば、お休み時に意識してウォーキングなどの有酸素運動を取り入れたり、お休み時も平日と同じように規則正しい時間に起きて眠ることを意識しましょう(お昼に10~20分仮眠をとるのもいいかもしれません)。
心臓や肺に問題が無ければ、体重にもよりますが、1日1.5~2.0Lの水分摂取もよいとされています。
寝る前にスマートフォンをついつい見すぎると、睡眠の量、質を下げてしまうこともあるので注意しましょう。
監修 札幌市東区 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック 院長 安部 裕介