外耳道炎と外耳道湿疹のお話
■外耳道炎 外耳道湿疹とは
外耳道炎とは外耳道(耳の穴の入り口から奥にある鼓膜まで)が細菌やウイルスなどによって炎症をおこしている状態です。まれに真菌(カビ)が原因で炎症をおこしていることもあります(外耳道真菌症)。炎症の原因は様々ですが、起こる症状は主に以下があげられます。
・耳の痛み
・耳のかゆみ
・耳垂れ
・難聴
・耳鳴り
外耳道炎の初期症状としては痛みやかゆみがあげられますが、悪化するにつれて耳の中から分泌物が出てくる耳垂れや、耳垂れが充満したり、外耳道の腫れが強くなったりすると難聴が起きることもあります。耳の痛みやかゆみを感じたら早めの治療をおすすめします。
外耳道湿疹とは外耳道炎をきっかけとして耳のかゆみが生じる>かゆいので再度耳をいじる>さらにかゆくなる、といったかゆみの連鎖が生じ、かゆみのサイクルが回り続けている状態です。1度よくなっても繰り返しやすく、炎症が強いときには外耳道炎にもなります。
■外耳道炎 外耳道湿疹の原因
外耳道炎 外耳道湿疹の原因は耳掃除のしすぎが多いですが、夏場などなりやすい季節もあります。最近非常に多くなってきているのがイヤホンによる発症です。
・耳掃除
耳掃除や、指で耳の中を触った際に、耳掃除の道具や綿棒、爪などで外耳道に傷がつき、その傷から細菌が侵入し外耳道炎 外耳道湿疹が起きます。耳の皮膚は他の部位より薄いため少しのことで傷ついてしまうため注意が必要です。
・季節によるもの
汗ばんだり、プールに入る季節である夏は、耳の中の状態が蒸れたりしやすいので外耳道炎 外耳道湿疹が起こりやすくなります。
・虫刺され、異物など
耳を虫に刺された後に細菌が侵入し、それに伴う痒みでかいてしまったときに傷が生じ、外耳道炎を発症します。整髪剤やヘアスプレー、シャンプーなどの異物が耳の中に入ることで、皮膚が刺激され外耳道炎が起こることがあります。
・イヤホン
使っているイヤホンや補聴器が慢性的な刺激となって外耳道炎 外耳道湿疹になるケースもあります。
■外耳道炎の治療
まずは耳の中を清潔に保つため、耳の中にある耳垢や耳垂れがあれば取り除きます。その後は点耳薬を使用したり、炎症部位に軟膏を直接塗り込んだりします。
かゆみが強いときは内服のかゆみ止め、腫れが強い場合は、抗菌薬の飲み薬を併用することもあります。痛みがひどい場合は痛み止めも併用することもあります。真菌(カビ)が原因の場合は、難治性のことも多く、根気強く毎日通っていただき、耳を洗浄し、抗真菌剤を耳の中に塗り込んだりします。
■耳掃除はしなくてもいい!?
ついつい毎日お風呂上りに気持ちよくてやってしまう耳掃除は実はやらない方が良いと知っていましたか?
実は耳の中に溜まる耳垢は元々耳が兼ね備えている自浄作用により自動的に外に出される仕組みになっています。なので、わざわざ自分で耳を傷つけ外耳炎になりやすくなる耳掃除はしなくてもいいわけです。
とはいえ、耳がつまる感じがしたり、聞こえにくくなった場合は、耳垢が充満していたり、耳の病気がある場合もありますので、早めにかかりつけの耳鼻咽喉科などで診てもらい、場合によっては耳垢を除去してもらうことをおすすめします。自分で行う場合は1ヶ月に1度程度にとどめましょう。
また小さなお子さんの場合には外耳道が狭く、家庭では難しいことも多く、かえって奥へ押し込んでしまったり、暴れて傷つけてしまったりすることもありますので、耳鼻咽喉科で除去してもらいましょう。
札幌市東区 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック 院長 安部 裕介