帯状疱疹ワクチンのお話
■帯状疱疹とは
帯状疱疹とは、小児期にかかった水痘(水ぼうそう)のウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が神経節に潜伏していて、それが再活性化することで、痛みのある赤い斑点と水ぶくれが帯状になって現れる疾患です。発疹は、ピリピリ、チクチクとした痛みを伴います。帯状発疹が頭部や顔面に出ると、難聴やめまい、耳鳴り、顔面神経麻痺などの症状が出ることもあります。また、帯状疱疹後神経痛といって皮膚疾患が治癒した後に神経痛を発症し、衣類がこすれたり風が肌にあたったりするだけで焼けつくような、電気が走ったような痛みを伴う場合があります。帯状疱疹は、加齢とともにウイルスに対する免疫が落ちてしまうため、50歳以上の方に多く発症し、80歳までに約3人に1人が発症するといわれています。そのため、50歳以上の方は帯状疱疹ワクチンの接種対象となっています。
■帯状疱疹の予防法
前述したとおり、ワクチンの接種により帯状疱疹の発症や重症化を予防します。帯状疱疹のワクチンは2種類あり、水痘ワクチンとシングリックスになります。次に2種類のワクチンについて説明していきます。
■水痘ワクチン(生ワクチン)
1回の接種で、帯状疱疹に対する予防期間が5年間、発症予防効果は50~60%になります。費用ものちにご紹介するシングリックスと比べて安価ですが、予防期間や発症予防効果は劣ります。ステロイド内服中など免疫抑制のある方、免疫不全の方は接種できません。
■シングリックス(不活化ワクチン)
2回(2回目はおよそ2か月後)の接種で、帯状疱疹に対する予防期間が9年以上、発症予防効果は当初90%以上、徐々に低下はしますが、8年でも80%以上、10年でも70%以上になります。費用に関しては水痘ワクチンと比べ、高価になりますが予防期間や発症予防効果が優れています。個人差がありますが、筋肉注射のため注射部位の痛みや発赤、腫脹、2〜3日の全身倦怠感、筋肉痛、頭痛、悪寒、発熱などが生じます。
■帯状疱疹の生活上の注意4つ
1.帯状疱疹を発症してしまった場合、原因の多くは疲労やストレスなどのため、可能な限り安静に過ごしてください。
2.入浴やシャワーなどは問題ありませんが、水ぶくれが破れると帯状疱疹の二次感染の原因となるため十分に注意してください。
3.帯状疱疹の患部を冷やすことで痛みが強くなるため、できるだけ患部は温めるようにしてください。
4.お子様がいる家庭の場合、水ぼうそうにかかったことのない乳幼児は水ぼうそうが発症してしまう可能性があるので、帯状疱疹の発症を確認したら接触を控えてください。
監修 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック 院長 安部 裕介