風邪のお話
■かぜ(急性上気道炎)とは
かぜ(急性上気道炎)は上気道(鼻・のど・声帯までの部分)に炎症を起こしている状態です。
ほとんどの場合は特別な治療をしなくても治りますが、症状が強い場合は、他の病気の可能性もありますので、注意が必要です。
下気道(気管支・肺)にウイルスが感染した場合は気管支炎や肺炎と呼ばれるので、風邪には分類されません。
■かぜ(急性上気道炎)の原因
ウイルスによる感染が原因であることがほとんどです。(80~90%)
<ウイルスの例>
・ライノウイルス・・・風邪の原因の30%~40%を占める。
・コロナウイルス・・・ライノウイルスの次に多い。 ※新型コロナウイルスとは異なります
・RSウイルス・・・冬に流行することが多く、乳幼児に感染し気管支炎や肺炎を起こすことがあります。1歳未満では重症となることも多く、小児科で迅速検査がなされる場合もあります。
他にも、ヒトメタニューモウイルスは、小児科で迅速検査がなされる場合があります。
特徴的な水ぶくれのような発疹が口に中などにでる、手足口病やヘルパンギーナに関係するコクサッキーウイルスもあります。
以下2つは、かぜとは区別し、出席停止が必要になります。
・アデノウイルス・・・プール熱の原因になるウイルスです。夏かぜとして咽頭炎や結膜炎が有名ですが、季節を問わずみつかります。迅速検査で診断できます。
・インフルエンザウイルス・・・おなじみのインフルエンザです。細菌のインフルエンザ菌とは違います。迅速検査で診断できます。ワクチン、治療薬があります。
■かぜ(急性上気道炎)の症状
発熱・のどの痛み・くしゃみ・鼻水・鼻づまり・咳・痰・頭痛・倦怠感・筋肉痛など
■かぜ(急性上気道炎)の検査
軽症であれば、ご自宅で安静にし、規則正しい食生活をし、市販の風邪薬などで問題ないことが多いです。
しかし、症状が強い場合に耳鼻咽喉科を受診される場合がほとんどかと思われます。
その場合は、かぜに似た、のどの強い炎症がないか、鼻の病気がないか、登園や登校の制限が必要な状態でないか、年齢や季節などを考慮し、アデノウイルスやインフルエンザの迅速検査、鼻水の検査、X線検査、のどファイバーなどを行う場合があります。
■かぜ(急性上気道炎)の治療法
基本的には治療をせずとも自然に治ることが多い疾患です。
症状が気になるときには、下記のような症状を和らげる成分のある市販薬などの服用も1つの方法です。
・解熱鎮痛成分(剤)・・・発熱やのどの痛み頭痛に効果があります。
・抗ヒスタミン成分(剤)・・・鼻水などに効果があります。
・鎮咳成分(剤)・・・咳に効果があります。
・去痰成分(剤)・・・痰に効果があります。
・漢方薬・・・葛根湯など。
つらい場合、悪化する場合は、受診し、その症状にあった検査、治療を行います。
■かぜ(急性上気道炎)の予防
かぜの予防はウイルスの感染を防ぐことが大切です。
・かぜをひいている人に近づかない。人混みを避ける。
・マスクをしましょう。
・しっかりと手洗いしましょう。
・うがいをしましょう。
・特に冬場は部屋が乾燥しないように気を付けてください。
・免疫力が下がるとウイルスに感染しやすくなりますので、バランスの良い食事を取り、十分な睡眠を確保してください。
札幌市東区 あべ耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック 院長 安部 裕介